俄か雨

しがないバンギャルのたわごと

大きいことはいいことだ?

今日のお話は、なぜV系は(実動員考えたら正直無謀な)キャパ上げをしたがるのか、という話。
本当に最近よくわからなくなったので真剣に人の意見も聞きたいんですけども。昔は結構疑問なく受け入れていたというかそういう学級会好きだったんですよ。

ライブハウスのスケジュール表、あちこちの箱で帰りがけにもらうアレです。それこそO系列のなんかを見ていると、まあEASTとかちょこちょことV系盤のスケジュールが入ってるわけです。ツアーファイナルとかそうでないところとかで。でもいざ実際行ってみるとソールドしない、しても消防法上かなり余裕のある感じ、または一部エリアを潰してのソールド、みたいなことが多い印象がある。あくまでも体感です。
先日推しがいるバンドが関東近郊の結構大きな会場*1でライブやったんですけども、自分自身は前記事の理由+αで面倒くさくなって行くのを放棄したのですが、外側の見切れ部分を潰してもなお全体的に余裕があり後方はスカスカだったという状況の情報がツイッターのフォロワーさん各位ならびに友人たちによりもたらされました。夏に同程度のキャパの箱でやったときは、撮影機材を入れるという名目で後方の段差の上を綺麗に閉鎖していたんですが、聞いてるとその時の方がましだったという意見が散見される。
実際の入場者数がどの程度だったかは知りませんが、いろいろ特殊効果というか生火とか使ってたらしいので回収できてるんでしょうかね。下衆な話ですが。

まあこれは代表例ではないにせよ、某雅さんの武道館(あのアリーナ部分まるまる潰すセット組みたさに無茶キャパにしたのかそれともセット云々は後付なのか議論が分かれるところですけども。でも座席が変更になったみたいな話は聞いたことがないので、もともと2階以上のスタンドにしか人を入れない贅沢な使い方をする気だったのかもしれないとは思います)みたいな話もありますし、一般発売してほどなくソールドするようなキャパという例の方が少ないような。ソールドアウトしてもその実かなり余裕をもって組んでるみたいなパターンもありますしね。

客の側にも、大きければ大きいほど良いという志向はあると思います。特に90年代のバンド、それこそ30半ばくらいならだれでも名前を知っているようなバンドを好きだった層が顕著なんだけども、2000年代初頭くらいまでのバンドのサクセスストーリーを見ていてそれを求めている気はする。ツイッターなんかでも、最近のバンドはどうしたら売れるのか会議みたいなことよくやってるしな。例えばこういうのとか。
matome.naver.jp

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フォロワーさんとかフォロワーさんのフォロワーさん(これが一番多い)が非常に多い学級会で、何が言いたいかというと発端層は概ねいわゆるオバンギャです。30代overがほとんどかな。自分も含めこの世代はヴィジュアル系的サクセスストーリーというものを見てきている世代です。それこそ20代で東京ドームを成し遂げたLUNA SEAであるとかデビュー前に武道館やったりTVに出てお茶の間に強烈なインパクトを残した*2Dir en greyであるとか最近復活が一大センセーションになったPierrotであるとか。そら懐かしむし言ってみれば黄金時代だし、この時代に戻れるものなら戻りたいと思う。ここまで行ける規模のバンドが出てきてほしいと思う。だからこういう学級会も盛んだし、何より楽しいですよね。好き勝手なこと言えるし。
全然関係ないけど、上の段落の途中に売れて売れて今、って書こうとしたけどその後意外と語呂がいいのが続かなくて何でこんなこと真剣に考えてるんだろうって思いました。それはともかく。
もう一つ考えつくとしたら、男性より女性の方が接触に敏感だからかなとは思います。いくら90年代盤の過酷なまでの圧縮に慣れている上段落のような層の人たちだって、ゆっくり空間を確保して見られるならそれはそれで快適だと言うと思うんですね。どちらが好ましいかはまた個人の好き好きですが。

で、バンドの側について。なぜ大きな箱を好むのか、という問いについての答えはまったく出てないのですが、早めに入れ物だけ押さえる、というのもひとつにあるのだろうなと思っています。うっすら聞き及んだところによると、今ライブハウスって結構早くから押さえておくものなんだそうで。1年前から押さえておいたけど実動員がそこにおいついていない、みたいなことは起きうるんだろうな、とか。
一年やそこらでそんなに動員上がると思ってるの?という素朴な疑問があるのですが、箔付けとかそういう意味もあるのかなとも思います。自分たちが/うちの所属バンドがこんな大きな会場でライブやったんですよ、という。

違う界隈だと逆のパターンが起こりうるんですよね。最近ギターロック系のバンドが急激にどかんと売れるパターンが多いですが、しばらくその状況においつかない感じで、そんなキャパの箱じゃすぐ売り切れるわ!と言いたくなる会場選択が続くことがままある。替えられなくて仕方ないということではなく、能動的に、あえて絞っている、ということも考えられなくはないですが。たまに小箱の空気感、客席と近い感じ、そうしたものを重視して(あるいはプレミア感を出すためにかもしれない)頑としてまったくファンの規模に見合っていない100人、200人とかそういう規模の小箱しか使わず*3、その結果発生したチケットの利益目的の転売を取り締まるためにチケットの本人確認を導入するというマッチポンプなバンドもいますしね。

まあ先ほどうっすらdisったバンドについても、さっきの話しの裏返しですが、今あちこちのライブハウスは大きな事務所とかが一年以上前から押さえている状態だと聞くので、直前で空いてるところを探して、ってやっていくと僻地や小箱にならざるを得ない部分もあるんだろうと思うので、仕方ない面もあるのだとは思うんですが。

ただ、大きな会場って、それなりの良さや便利さがあって使いたいという気持ちもわかるのですが、多分経営面だけ考えてたら悪手なんじゃないかな、とも思います。ホール公演が赤字になりますみたいな話はよくツイッターとかで流れてきますが(そもそも使用料が高い、PA機材等持ち込みの場合が多い、演出用の機材も使うならさらに費用がかかる、etc)、料金が高くて売り上げ枚数が厳しくなるかもしれないところより、多少狭めでもノルマをきっちり達成できて、超えた分がバックとして入るようなところの方が実入り的にはいいんじゃないかなと勝手な心配をしてしまうわけです。実際、特にラウド系とかでライブの本数が多い人たちは、そうやって小箱を回ることが多いですしね。

ここから下はまた話が変わってしまうんですけど、界隈は着券率がどうもよくないという話は(推測も含め)あちこちでなされていて、それをたとえば特定のライブだけでも数字として出した人は私は寡聞にして知らないので、だからこの手の議論は状況証拠を並べたものでしかないんですが。
それでも、単純なロジックの問題として、最前*4に入れる番号を揃えようと思ったときに一発でそこまでの番号を引けるほどの強運の持ち主はそうそういないし、いたとしても毎回発揮されるわけではない。そうすると必然的に、下手な鉄砲数うちゃ当たる式に手元に来る枚数を増やせばその分確率は上がる。かくして複数買いが発生します。それでも出なかったら、同じ考えの人や都合が悪くなって行けなくなった人、場合によってはオークションで出されている自分より早い番号のチケットを買う。この時点で手元には複数枚のチケットがダブついています。これだけダブついたものを一気に譲りに出していれば必然的に、譲りに出ていれば少しでもいい条件のものが選ばれていって遅い番号のものは残っていくので、遅い番号だと条件を少しでもプラスにする、つまり値下げしないと売れなくなる。そこまでしても、買いたい人の人数と見合わなければ売れ残る。運営側がそうやって無駄になる枚数をどこまで織り込んで発売枚数とか当日券とかを決めてるのかは知りませんが、まあ何枚かを紙切れにした状態で来る人は一人や二人ではないですよね。だから着券率が悪いであろう、と言われること自体はむべなるかなという感じ。

着券率問題とはあまり関係はないのですが、値下げしないと売れない問題については、どこかで読んだ中に「良席に積むことを批判してる人の中にも、悪い席の譲りだと値下げを求める人がいて、でもそれ(悪い席は値下げ)が良席には積むという価値観を作り出してるんじゃない?」ということを言ってた人がいて、まさにその通りだと思うわけです。この事案の場合はどちらかというと話が逆で、積んだ結果遅番は値段がどんどん下がっていくという状況なんですけども。
だってそのチケットの市場規模を超えるような枚数を出させておいて売り切れるわけがないし、超えなかったとしたって、チケットが売り切れていないとしたら、まだ残っている以上どこを重視するか?になってしまうわけで。
チケットを譲ってもらう側、買い手の側からしたら、見ず知らずの人と連絡を取り合って金の話をして個人情報のやり取りをして、って結構な負担だし。どうしても先行のチケットじゃなきゃ嫌!って人が取り損ねた場合ならともかく、最初の先行で申し込まずに一般発売を待つ人って、そういう面倒なやり取りをして赤の他人から少しばかり番号がいいだけのチケットを買うくらいなら一般*5で買った方が多少遅いけど気は楽だわ、って考えの人が多いと思う。ソールドしてないなら当日券もまず出るわけだから、なんなら当日まで行くか行かないか迷ってから決めることができる。
私の知る限りで複数買いを(頻度の差こそあれ)やる人は大体「今回は赤字だわーw」などと冗談めかして話していたりしていて、ある意味必要経費と割り切っているのだろうと勝手に推測してるんだけども*6、これが本当になんで売れないんだ?とか、何で値下げしないといけないんだ?と思っている人がいたとしたら、ちょっと待てよ、とは思います。

話がそれましたが、逆にソールドしていたとしたら、行きたければ面倒であっても誰か譲ってもいいと言っている人から買うしかないわけで、そうするとキャパ上げも着券率の低下に一役買っている部分もあるのかもしれない、とも思います。

あとはすっごく単純な話で、キャパが大きくなればなるほどチケット高いんだよなー。
多分衣装代メイク道具代という他にないエクストラの出費があるということと、ライブ自体の回数も、決して少ないとは言わないけど多いと言えるほど多くもない。その辺のギャップを埋めたりするためにも必要なんだろうとは思います。が。一度上げたチケット代って戻せないから*7、足が遠のくときって「××に5000円払って1回行くくらいならご飯食べに行って
○○のライブ見に行ってトータル5000円の方が良くない?」にもなりがち。そして最終的にはそれにもついていける信仰心の篤い人たちしか残らない、という結果に…。


っていうかこれ書いてたらちょうど保険とか勘弁せえ系の話題が湧いたからタイムリーすぎる。

*1:公称キャパ1300人

*2:詳しく知りたい方は「残 Mステ」などで検索

*3:最近は大きいライブハウスのツアーもあるようですが

*4:イントネーション最↑前↓

*5:往々にしてほとんど出てないので先行の最後の方の番号とはあまり変わらない

*6:自分自身もやるときは持ち出しになるのもやむなしと思ってやってる

*7:たまにしれっと下げてるバンドもいるにはいる