俄か雨

しがないバンギャルのたわごと

特許事務をやめて一般企業に転職しました+退職金支払い請求やってみています

エンジニアもすなる退職エントリといふものを、知財系女子もやってみむとてするなり。

というわけで8年勤めた会社(厳密に言うと特許事務所)を辞めました。新卒で入ったとこは2年で辞めたので2回目の転職です。

自己紹介

30代前半、新卒で翻訳会社(営業事務)→特許事務所(外国事務)→一般企業の法務←イマココ
あまりあるあるな経歴ではないと思うので、そこまで詳細には書きませんがこんな感じ。

翻訳会社の営業事務はまあ普通に営業事務ですが、自分がいたところは翻訳の進行管理(部門によっては品質管理)とかも担っているような仕事でした。なので翻訳会社の中の人の業務はなんとなく理解できると言う感じ。

特許事務所の外国事務というのは、単純に言うと外国の同業者(特許事務所)とやり取りする部署ですね。
その中でも①日本の会社の知財部が出してきた発明を外国でも保護されるようにするために外国へ依頼する、という方向の仕事と、②外国の会社が日本でも特許に関する申請をしたいと依頼してくるのを受けて手続きする、の2種類があり、私は②を担っていたので、日本の役所向け手続きも一通りのところはできます。
端的に言うと、外国に向けてメール書いてるか日本の役所に出す書類作ってるかのどっちかです。

今は業務の性質上あんまり細かくは書きませんが、まあ普通の企業の法務がやってるような感じの仕事です。

退職理由

前のブログで書きましたが資格試験に受かったのでなんか新しいことしたい(独立しても役に立つような……)と思って法務系にジョブチェンジしたかったこと、そうなると法律知識はあるとはいえ未経験なので年齢的に今がぎりぎりだろうと判断したこと、それから元勤め先の状況をものすごく簡潔に言うと、先がなかったこと。
賞与が1年くらい出ておらず(=出せるような業績ではない)、あとここ1~2年で辞めた人は退職金が退職金規定の規定額から削られたり、基準の時期から遅れて支払われてると聞いていました。
辞める前後くらいに技術担当者向けの説明会があったので内容を聞いてみたら、どうも給与体系変えると言う名の賃下げやるらしいです。
昇給がなくなったとか賞与が出ないとか年々経費にうるさくなるとかその辺を除けば職場環境で嫌なところはなかったので、そういう意味では経営さえうまくいっていれば居続けられたかな~とも思います。

ツイッター上で白鳥エス*1問題を観測しているのも、元勤め先ももう二歩三歩進むとこんな感じかな~みたいな感覚があるからです。
法律系の会社なんだから遵法してるでしょ?と思うなかれ。種類にもよりますが、こういう業界って自分で事務所立ち上げから始めると、基本的には自分ひとり(+家族)みたいなところから始まるので、社会的にまずくなければ最初はそれでオッケーなんですよ。
その感覚のまま大きくなってしまうので、パワハラが常態化してるみたいなことが口コミサイトに書かれていたり、資金関係がガバだったりなんて話は結構耳にします。そういえば今年に入って、某事務所の上の方の人の脱税みたいな話もありましたね。

退職理由ではないけど、業界雑感

知財業界、特に特許事務所まわりに関しては、全体として詰んでるとまでは思わないのですが、これから淘汰されるのかなという気はします。体力のある大手と、自分さえ糊口をしのげればどうにかなる個人事務所はまだしも、ある程度の人員を養わないといけない中堅あたりはきつそうだなと思います。
あとは自分より先に辞めた人と話していたり、知財系のブログを見たりしてて思ったことですが、昔は外国案件は結構お金になったようですけど今はそこまででもないですよね。むしろ、英語と法律はちゃんと勉強しておかないとどうにもならないよという感じはある。
そういうご時世なので、外国関係の案件でも自分一人で処理できる技術者や弁理士も出てくるわけです。ただ、自分の元勤め先はそういう意識がかなり低くて、というか翻訳担当と外国人社員に丸投げなところがあり、そうなってくると案件処理的には不利ですよね。他は一人二人でできるものが、翻訳かけてそれが完了してからでないと対応できないというふうに工数が多くなるわけですから。
こういうところの手当てが組織としてできなかったり、あと業界に限らず規模の小さい会社あるあるですが「自分より優秀な奴を採りたくない」的感情により一人で完結させられる人材をブロックしてしまったり、こういうのも中堅苦戦の要因になっていそうな気がする。

自分が退職する直前に外国人技術者が辞めてて業務に致命的な影響が出ていたので、せめてそういう人だけでも引き留め策を考えておけばよかったのにね、と思いつつ辞めましたが、自分で言うのもなんですけど私も海外からの問い合わせ対応など、結構完結できる系の人材だったので(流石に技術内容の話は無理ですが)事務も地味に混乱してるとは風の噂で聞きました。申し訳ないが残った皆には頑張っていただきたいところです。

あと士業の世界って、結局のところ資格持っててナンボみたいな感覚はあるなーとは思いました。弁理士と技術者(他士業でいう補助者)はやっぱり同じような仕事してても出来ることも待遇も違うし、いわんや事務員をや、みたいな。
特許事務もある意味特殊スキルではあるので(普通の事務員の仕事とはわりと違うと思う)、できることを増やしていけばそれこそ業界内ならどこでも行けるようにはなるのですが、そうなると結局は少しでも待遇のいいところを求めて(給料が上がるとか休みがとりやすいとか嫌いな感じの人がいないとか)ぐるぐる動く感じになります。
自分に関しても、外国とのやり取りと役所系の手続きが一通りできるので*2エージェントに勧められて受けた事務所さんは内定いただいたり最終段階にいったりしたのですよね。この業界でないところに行きたかったので全部辞退してしまいましたが。

今後の展望…を書きたいところですが、話は↓に続く。

退職金の減額について調べてみた

さて退職理由の項でもちょろっと書きましたが、元弊社、退職金規定があるにも関わらず、退職金がここ数年満額支払われていないと言う話があります。

そして、私の退職時の流れがこちら。

まず退職前。当初の予告の時点で規定額から結構減らされた額を「○円くらいになると思います」と予告されたので、計算書とかはもらえないんですかとさらっと聞いたところ、「そういうのは作ってないので」と経理担当者に拒否される。
#どうも後から退職者ネットワークで聞いたところ、役員の一人が支払い可能な額とか勘案して「調整」してるらしい。それは計算書と言われても出せないわ…。経理担当者には同情する。とはいえ経理部長は2月に突然退職して、私の時に対応してくれた経理担当者(同年代の女性)も先日辞めたんだかもう辞めるんだかするっぽいですが。

で、言われた額が満額入ればまあ経営もこの状態だし仕方ないよなと泣き寝入りするつもりでしたが、規定記載の退職金支払い日頃。家計簿アプリから銀行入金の通知があったので見てみると、その減額して予告された額よりもさらに数万ほど減っている。結果的に振り込まれたのは、規定によれば出るはずの退職金の概ね半額です。

そこで流石にちょっとキレました。
いやいや会社の求めに応じて退職時期も調整して引継ぎも2か月かけてやって有休残り日数何日か捨てて、それでこの仕打ちかいと。
せめて自分たちが言ったことくらいは守ってもらわなければ筋が通りません。ていうか、それ以前に規定作ってんだから、そこから外れるなら説明くらいしろよと。会社には世話になりましたが、それはそれ、これはこれだ。

というわけで、転職先の会社で試用期間でも夏休みが使えるのをいいことに、8月に入ってから管轄の労働基準監督署に相談しに向かいました。こんなこともあろうかと、最終出社日の何日か前に社内規定の類をすべてコピー取っておいたのが生きた。あと8年の業務経験のおかげで、役所は大体どういう資料を用意してどういう聞き方をするのが早いかというのはなんとなく体感としてわかります。ありがとう元弊社。だがしかしそれはそれ、これはこれだ(2回目)。

退職金規定に中退共に関する規定が入っていたので加入状況を調べると言うトラップは発生したものの、無事に未加入が確定したのでめでたく退職金の一部未払い案件が確定いたしました。

自分で調べてもよく分かってなかったのですが、労基の人から得た情報によると、退職金は規定を作った場合、賃金にあたるそうです。なので、退職金規定はある、中退共に加盟してない*3から差額を中退共から支払われるわけでもない、その状況下で規定の半分ちょいしか支払ってない、となるとこれは賃金未払いにあたり労働基準法違反事案だそうです。

というわけで、会社に請求書を送ります。
何でもそうですけど、紙上の知識で知ってたことを実際体験するとワクワクしますね。たとえそれが未払いの賃金債権に対する支払催告とかいうそれなりにハードな案件であっても。仮にこれで何のアクションもなかったら、6か月以内に訴え出れば時効が止まります。そのはずだ。

大層世話になった事務マネージャーのお姉さまと、これまた風の噂によれば退職勧告受けてるらしい技術のお姉さんには申し訳ないなと思うものの、まあこの二人は最悪探せばすぐ次もどうにかなると思うので…。経理担当ちゃんも辞めるならこれを参考に退職金は満額勝ち取ってくださいくらいの心持ちです。もう辞めてたらアレだけど。

書面についてはこれから発送予定なのでまだ反応が分かりませんが、ちょっと別件で弁護士と話す機会があり、万が一もめたら相談の上受任してもらおうと思っています。

面白展開になれば追記します。

*1:株式会社アキュートリリーが経営してるエステサロンで、常態化する賃金未払いが最近話題になってる

*2:大手事務所さんだと分業するので、出願書類しか作れないとか権利維持の手続きしか分からないみたいな人も時々いる

*3:入ってたのかもしれないけど掛け金払ってなくて辞めさせられた可能性もあるな